「ブラタモリ-伊豆大島編」ダイジェスト!

NHK総合「ブラタモリ」にて、2020年10月10日放送の「伊豆大島の火山」と17日放送の「伊豆大島・山頂へ」と2週に渡り「ブラタモリ-伊豆大島編」が放送されました。皆さまご覧になりましたか?今回は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、実に5ヶ月ぶりのロケ再開による久々の新作とあって期待も高まっておりました。番組タイトルはズバリ「伊豆大島・山頂へ〜伊豆大島は世界に誇る火山愛ランド!?〜」。活火山の島「伊豆大島」の魅力が盛り沢山な内容でした。

ご覧になっていないという方はもちろん、ご覧になったという方は復習の意味も込めて、放送内容を踏まえて伊豆大島ナビ編集部にて写真、文章を構成したダイジェスト版としてお届けします。

世界も注目の火山活動・大迫力!伊豆大島2万年の旅

竹芝桟橋を出航し夜行船に乗って伊豆大島へと向かうタモリさんと浅野アナ、美しい東京の夜景とともに期待も高まります。

伊豆大島に到着すると早速、島の南西「バームクーヘン」の愛称で親しまれている地層切断面へと向かいます。タモリさん、地層切断面は写真で何度も見たスポットなんだとか。そして、今回も伊豆大島をご案内するのは伊豆大島ジオパーク認定ガイドの西谷さんです。

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森林インストラクター 西谷香奈さん

伊豆大島に暮らす人にお会いし、お話をお伺いする企画、その名も「島人Focus」。
今回は伊豆大島ジオパーク推進委員で森林インストラクターの西谷香奈氏にお話を伺いました。

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地層切断面は“地球のバームクーヘン”と言われている高さ20m以上、長さ630mにも渡る圧巻の巨大地層です。過去の噴火の状況が手に取るように分かるとのことで、まさに“火山島の履歴書”とでも呼ぶべき貴重な資料にもなっています。

露出している地層は古いもので約2万年もの過去の噴火の歴史が読み取れるそうで、気の遠くなるような時間の記憶がこの巨大地層に記録されています。

さて、今から2万年前の伊豆大島は今よりも小さく、マグマが海水と触れ合い爆発的な噴火(マグマ水蒸気爆発)を繰り返していて、ちょうど2013年の噴火で新たな島が誕生した西之島のように、流れ出た溶岩によって面積を拡大していった頃とのこと。

その後、1万8,000年前の地層を確認すると2万年前の地層には凝塊角礫岩(ぎょうかいかくれきがん)と呼ばれる細かい石が混ざっていたが、それが主に火山灰だけの層に変わっています。それはマグマが海水に触れなくなるほど島の面積が大きくなったことを示しているのだとか。

地層に含まれている石の大きさやその成分によって当時の状況が読み取れるとは、まさに“履歴書”ですね。

そして、噴火の度に層ができていくので、そこから過去の噴火の回数や性質、規模等がわかります。確認できる層だけでも100回以上の大噴火が記録されていて、これだけの大規模な火山灰の積もった露頭は世界的にも珍しいのだとか。
さらに、このような研究手法は伊豆大島で生まれたという意外なエピソードも。なんと!世界初の研究法なのだとか。今から五十年前に火山を観光でPRする為に当時の町役場が専門家に依頼したのが始まりとのことで、さすが観光の島、伊豆大島です。そんなところからも「世界に誇る火山愛ランド」たる所以が伺えます。そして、もう一つの注目ポイント、それは可愛らしいバス停(笑)。“火山愛”が随所に見られます。

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地層切断面

島の南西部、沿岸を行く大島一周道路を走っていると、ひときわ目を引く見事な地層の縞模様が突如あらわれます。高さ約24メートル、長さ630メートルの圧倒的スケールの地層の断面が私たちに驚きと感動を与えてくれます。

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いよいよ三原山へ

続いて目指したのは火山島「伊豆大島」の中心部とも言える三原山です。
山頂口から三原山全体を眺めるとスイカの皮のような黒い筋が確認できます。実はこれ、1986年噴火の際に流れ出た溶岩の跡なのです。噴火当時の写真と見比べると一目瞭然です。

周囲を見渡してみると、ぐるっと取り巻いている地形が外輪山で、窪んでいるのがカルデラです。ちょうどすり鉢のような形をしています。この外輪山を作ったのが1700年前の噴火でした。大量の溶岩が噴出することで山体が大きく崩壊・陥没することで形成されるのがカルデラなのです。

さて、タモリさんたちは三原山の山頂火口を目指し進みますが、途中で見つけた溶岩の痕跡から特徴的な形に着目します。

それは縞模様のような独特なシワの入った溶岩。こちらは240年前の江戸時代の噴火で流れた溶岩で「パホイホイ」溶岩と呼ばれています。

パホイホイ溶岩は粘り気が少なくドロドロ流れるので、独特な縞模様ができるのが特徴。冷え固まった溶岩でも噴火当時の溶岩の流れが推測できるのが面白いです。
この240年前の江戸時代の噴火は安永大噴火と呼ばれるもので当時の古絵図にもその様子が描かれています。そんな多様な火山活動に触れられるのも伊豆大島の魅力ですね。

そして、また別の場所には「パホイホイ」溶岩とは異なるゴツゴツとした溶岩が目に入ります。こちらの溶岩は「アア」溶岩と呼ばれており、70年前の1950年の噴火で流れ出た硬い溶岩です。ガサガサしててトゲトゲしいのが特徴です。

ここで、当時の噴火を経験された島民の方が登場し、噴火体験のお話です。
白井さんは1951年の噴火当時、小学校4、5年生だったそうです。
溶岩が流れている様子は間近で確認できるほどで、冷えると固まる溶岩の性質を活かして灰皿をつくる島民もいたのだとか。

さて、気になる灰皿の作り方ですが、切った生木(乾燥している枯れ木を利用するとすぐに燃えてしまう為、生木を使用した)を流れる溶岩に差し込み、溶岩をからめ取り、砂に押し付け冷やして固まれば出来上がり!と、なんともシンプル且つ大胆な工程です。笑

溶岩と遊んだ小学生、島の暮らしとともにある噴火、伊豆大島が火山愛ランドと呼ばれるのも納得できる体験談でした。

続いて訪れたのは1986年の噴火により流れ出た溶岩流の先端。
こちらでも当時の噴火を体験された島民の方が登場し、当時のエピソードを聞かせてくれました。しばらく噴火もなく、観光客も減少していた頃で、そろそろ噴火しないかなぁと思っていたら、七五三のお祝いをしているときにドカーンと地球の底から突き上げる振動とともに噴火が始まったそうです。
溶岩噴泉が空高く噴き上がり、壮大な光景が展開されるのをたくさんの報道陣や地元住民、観光客が見守りました。
しかしながら、11月21日、外輪山斜面に割れ目噴火が起こり、火口から流れ下りた溶岩が大島の中心街である元町方面に向かって流れた為、全島民に島外避難命令を出し全島避難となりました。避難期間は1ヶ月に及びました。

島民の暮らしのそばで常に活動を続けてきた火山島「伊豆大島」には、島民それぞれの想いとともに紡がれてきた火山との関わりを通じた物語が沢山あります。そして、現在も火山活動を続ける伊豆大島は今後どのような姿に変わっていくのでしょう、興味がつきません。

2週目の放送ではいよいよ噴火口へと迫ります!

噴火を繰り返し、多くの人を魅了してきた火山島、今回はいよいよ山頂の噴火口を目指します。しかしながら、ロケ当日は天候に恵まれず視界がほぼ遮られた霧の中でのロケとなりました。

山頂に到着すると大きな岩に注目します。
こちらは1986年の噴火でできた岩で、マグマのしぶきがぶあーっと噴き上がり、しぶきが降り積み重なって大きな岩になったもの。この溶岩の塊は「アグルチネート」と呼ばれていて、ここまで巨大になるのは火口に近いことの証拠なのだとか。溶岩に流されながらどんぶらこと流れてきたが、三原山の斜面にさしかかると溶岩の流れが速くなり、溶岩流の厚さが薄くなるので、ちょうど喫水が深い大きな船が浅瀬で座礁するように、斜面にさしかかるここで止まったのではないかと推測。「アグルチネート」は溶岩の塊ではあるが、もともとしぶきが積み重なったもので、隙間が多く密度が小さいので、溶岩の上に浮かんで流されて行きました。

ところで、三原山周辺には様々な観測機が設置されています。例えばGPSを使って設置されている観測器同士の距離を測定することで山体の膨張状況を調べます。現在もどんどん膨らんできており、35年ほどの周期で噴火していることから、近いうちに噴火すると考えられています。観測機から出力された測定シートには火山が膨らんだり縮んだりする様子が見てとれます。それはまるで呼吸をしているようなラインを描いていて、地球も生きもののように活動していることに気づかされます。

やがて火口に到着。霧で全く見えなかったのは残念ですが、この場所から1951年の噴火の際に新たにできた地形について触れていました。1日6mずつ大きくなり、大島の標高を754mから765mへと更新した地形を確認。

続いて訪れたのは、1986年の噴火のクライマックスが覗ける場所へ。
霧の中からゴツゴツした岩山が。高さおよそ6メートルの巨大な岩の列が1,700mに渡って続いています。岩の形状はゴツゴツしていてベタベタと貼りついたような岩、そうです、「アグルチネート」です。

カルデラ床のほぼ中央部分、割れ目火口から溶岩噴泉(ファイアーファウンテン)が壁のように噴き上がり、その高さは1,500mにまで及んだのだとか。それまでの世界最大はハワイの500mで、それを大幅に上回る高さに。世界中の火山学者を驚かせる噴火となりました。

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三原山トレッキング

伊豆大島は島全体が活火山。その中でも島の中央に位置する『三原山』は、島民に御神火様として崇められてきた、まさにシンボルともいえる山です。今回はオオシマツツジが咲き誇る5月に、伊豆大島ジオパーク認定ガイドの山村愛さん(愛ちゃん)の案内で巡ったコース、三原山頂口より山頂を目指し、火口を一周した後、裏砂漠方面に下って温泉ホテル方面へと続くコースをご紹介します。

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活発な噴火活動の理由とは?

そもそもなぜ伊豆大島はここまで活発に火山活動を続けるのでしょうか?
その理由は伊豆大島の位置とプレートの関係にありました。

伊豆大島はフィリピン海プレートとユーラシアプレート、太平洋プレートの3つのプレートが集まっている場所に位置しています。フィリピン海プレートは北西方面に進むが、その先には伊豆半島が障害となってうまく沈み込めない状況になっていたり、北米プレートの方向にも引っ張られたり、プレート同士の引っ張り合いや押される力でマグマが出やすくなっていることから、活発な噴火活動に繋がっているのだとか。
絶妙な位置関係にあり世界でも稀な状況にある伊豆大島、まさに世界に誇る火山愛ランド。奇跡的な立地が、ダイナミックな景色を生み出していたのです。

火山愛ランド、最後の絶景へ

最後に訪れたのは、伊豆大島が誇る絶景スポット「裏砂漠」でした。国土地理院の地図に日本で唯一“砂漠”と表記されており、その独特な風景からGLAYや乃木坂46といった有名アーティストのMVのロケ地としても有名です。

ここは1年のうち3分の1は風速10m以上の風が吹いていて、火山灰や噴出物が降り積もりやすく、また植物の種が風で飛ばされて根づきにくい環境だったこともこのような景観を作り出した要因と言えます。裏砂漠はまさに火山島ならではの景色と言えます。

どこから噴火するかわからない。私たちが見ている景色も全く別のものになるかもしれない。奇跡的な立地、活発な噴火活動、噴火の度に変わる景色が人々を魅了してきました。火山と共存する島「伊豆大島」はこれからも多くの人々を魅了していくことでしょう。

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日本唯一の砂漠『裏砂漠』

伊豆大島のほぼ中央になだらかにそびえる”御神火”こと”三原山”。その東側一帯には地表を黒い火山岩(スコリア)で覆われた「裏砂漠」が広がっています。伊豆大島は富士箱根伊豆国立公園に属し、「裏砂漠」周辺は特別保護地区として車両の乗り入れが禁止されており、自然環境や生態系が十分に保護された地区となっています。

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